強靱な肉体を持ったスーパーヒーローの全身タイツ姿は見栄えがします。豊満なお姉さんの水着姿はゴージャスで色っぽい。貧弱な身体をたたえた魔女っ子ヒロインのスパッツ姿にだってなんとも言えない趣があるのです。
アニメやマンガのキャラクターの服は、体のラインがしっかり出るものが多いです。
A:描き手の技術的な問題
B:描き手の好みの問題
C:デフォルメの特性
理由はどれを選んでもいいのですが、人間の見た目や性格などの個性を表現するには体型も重要な要素になるからといえる方がスリムです。
技法書の中には「服を描くのが苦手な人は、まず裸を描いて袖口の線を描けば簡単に服を着せられます」といった説明をするものもあるぐらい、ピッタリ服はキャラクターに密着しています。萌え的には突っ張ったり隙間があったりするのが重要☆″だったりしますが、裸に袖口はまっことありがたい教えです。
●ピッタリ服の技
絵は、描かないことで雰囲気を出しますが、描くことで説明ができます。ごまかしが効かないから難しいのではなくて、ごまかしが効かないから楽なのです。
例えば分厚い宇宙服に覆われたキャラクターが自分好みな人物かどうか想像もつきませんが、ぴったりした衣服を着ていれば年齢性別から体型や性格まで一目瞭然です。描かないことで個性を表現するより、描いて個性を表現する方が安心感があり分かりやすいのです。
●スパッツの力
隙間なく密着したスーツには無駄がないのでそれだけで気迫と息づかいが感じられます。スパッツを着用すればボディラインが締まって見え、加えて柔軟な身体・軽い足まわりが連想されるのです。
足が長く見えるハイレグに比べて、スパッツの裾は実用重視であまりおしゃれでない切り方ですが、それも魅力の一つです。実用重視とは、嬉しいだけのサービスカットにとどまらず、中身で勝負できることの意思表示なのです。人為的なそけい線の設定がないので、見る人の好みで選べるVゾーンも強みです。※そけい…足の付け根
●Tシャツの魔法
ピッタリ服でキャラクターが分かりやすくなることは素晴らしいですが、『分かりやすい=萌え』というわけではありません。手品のタネのように全てが明らかにされない方がいい場合もあるのです。ネッシーが模型だったと聞かされて、夢が壊されたと感じたあなたなら分かるはず。北のオーロラのごとしTシャツのヴェールに隠された不確定の神秘。人類に残された最後の秘境に乾杯。
ゆったり目のTシャツで隙間を作り、長めの裾をはためかせる。分かるスパッツと分からないTシャツの相乗効果でチラリズム効果を十二分に発揮できるでしょう。
密着感と隙間をください。
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