「どこの馬の骨とも分からぬ子娘なんぞに入れ揚げおって!」
「あの娘には背負っているものがあるんです」
誰でも描ける萌えキャラを最強装備にするために一通りのことをやって来ました。絵描きにとってハードルの高い文章表現にまで手をだすなど、キャラ魅力の追求はいよいよ限界点に達したかに見えました。ところがまだやれることがあったのです。
これまでとは違った視点で、愛する萌えキャラに存在感をもたせていきましょう。ファンタジーなど現実と異なる世界を描いている人にとっては生命線となる、世界観の伝え方を考えます。
●世界観って何?
鶏が先かたまごが先か。前回取りあげた『ストーリー』と切っても切れない世界観。ごく簡単にいうと、世界観とはキャラクターの暮らしている世界の歴史や文化のことです。まだ決まっていない人はキャラクターのことを想いながら考えてみてください。とはいえ、本来世界観の構築はとても時間のかかるものです。誰でもすぐというわけにはいかないのが実際の所なので、手始めにキャラクターの身近なものごとから広げていくと良いでしょう。
●世界観を伝える手段
>文字で世界観をスペック表に追加 [これまで]
キャラクターのスペック表に詳細な世界観を加えます。手軽ではありますが、よほどキャラクターを気に入ってもらえなければ、絵サイトにおける長文説明は活字の塊扱いされ、読者の視界から消えてしまう現象が頻繁に起こる構造的欠陥があります。
>絵で世界観を描く
[これから]
設定コーナーを設けてキャラクターの住んでいる世界の風景画を置くことで、雰囲気を短時間で伝えることができます。ただ、キャラクターの絵を見に来ている人にとって、景色だけの絵はつまらないから大抵チラ見で終わります。その割に景色だけで魅せる絵を描くのは人物を描くよりずっと時間がかかるので、費用対効果は低いです。※あくまでキャラクター絵を目的とする読者を想定した場合です。
●目に入れても痛くないほど可愛い
世界観を伝えるための風景画を見てもらえないなら、キャラクターの後ろに背景として一緒に描いてしまえば絶対目に入ります。“嫌いな野菜もカレーに入れれば食べるよ作戦”です。
これなら背景が邪魔になるどころか、キャラクターとの相乗効果でおいしさアップです。背景つきのキャラ絵は、絵を一点見ただけで世界観が伝わるだけでなく、キャラクターの存在感が圧倒的に高まります。あらかじめ構成を練っておき、そのキャラクターがどんな所にいて、何をしているか分かるような絵にできれば申し分ありません。景色が自然に目に入ってくるような絵ほどキャラが可愛く引き立ちます。風景だけの絵だとつまらないと思っている人でさえ、キャラ絵に風景を加えたら、コーヒーにミルクを混ぜた子供のように大喜びです。※便宜的に分けて表記していますが、私は絵の一体感を大切にしたいので、人物+背景という風に切り離すべきではないと考えています。
●キャラ絵に背景は必須?
一流の俳優は一流の舞台に立つものです。オリジナルキャラクターが少なくとも自分にとって最高だと思うなら最高の舞台に立たせてやりましょう。たったそれだけでキャラクターが魅力的に見えるのです。ただし手を抜いた背景では逆効果になってしまいます。
背景はキャラに存在感の化粧をしてくれる素晴らしい存在ですが、背景がなければ間がもたないキャラはキャラ立ちしておらず、すっぴんがいけてないアイドルのように寂しい存在です。
全身を納めた立ち姿の設定画を立ち絵といいますが、基本的に背景はつけません。設定画に余分な情報があると素のイメージに影響してしまうからです。大抵のキャラクター紹介では、立ち絵がそのまま使われることが多いので、鍛え方が足りないキャラは思わぬピンチにおちいります。背景をさんざん持ち上げて来ましたが、この絵日記の本来の主旨でもあるキャラクターデザインの観点では、背景なしで勝負できるセンスを磨き上げることも必要です。
一流のキャラクターは存在するだけで圧倒的なパワーを発します。また有名キャラクターの力も、貼り付いた100均文具がたちまち大人気の公式キャラクターグッズ暴利で完売御礼になってしまうぐらい強力です。現実的にはなかなか到達できませんが、ブランド力を高め、洗練され、高い画力で描かれたキャラクターには背景はもはや必須ではありません。
【話がそれていませんか】
Q:めんどくさいです。萌えキャラの描き方と背景とは関係ないんじゃ。
A:キャラクター設定画のみなら背景は不要です。しかし萌えキャラの“描き方”としては、背景まで描いた方が断然萌えるシチュエーションを組みやすい。背景を描く意識はキャラを魅力的に見せる世界観につながっていくと思います。
キャラクター描きの多くは背景を描くのが苦手なので、他との差別化にもつながるでしょう。
初期案は別のメイドさんでした。
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